特定派遣

特定派遣は、派遣元企業が自社の社員を他社に派遣する形態で、かつては主に技術者や専門職に利用されてきた派遣の一種でした。特定派遣では、派遣社員が派遣元企業に直接雇用されるため、派遣先企業で働きながらも、雇用の安定が比較的高いのが特徴です。これにより、派遣社員は安心してスキルアップやキャリア形成に取り組むことができる環境が整えられています。

特定派遣は一般派遣とは異なり、派遣元が責任を持って社員を雇用し続けるため、派遣先での勤務終了後も派遣元の社員として次の業務を待つことができます。これにより、特定のスキルを持った人材が専門知識を活かしやすく、企業も安定的に技術者を確保できる利点があります。この形態は特にITやエンジニアリング分野で多く利用されてきました。

特定派遣は現在、派遣法の改正により新たに契約を結ぶことができなくなり、すべての派遣が一般派遣に一本化されました。しかし、既存の特定派遣契約がある場合、企業はこの契約の管理を慎重に行う必要があります。契約が継続している場合は、派遣社員のキャリア支援やスキルアップのための研修を積極的に行うことが、企業の責任として求められます。

企業にとって特定派遣の利点は、派遣社員が自社の文化やルールに沿って継続的に業務に従事できるため、長期的な戦略に合わせて人材を育成できることです。派遣社員も、派遣元企業に所属している安心感を持ちながら働けるため、派遣先でも積極的に業務に取り組むことが期待されます。

特定派遣は、企業にとって「信頼できるパートナー」として活用されてきた人材の形態であり、現在もその意義を理解しながら対応することが重要です。